村上豊牧場

基本情報

代表者 村上 豊
牛舎 つなぎ牛舎
頭数 搾乳牛14頭 育成牛4頭
牧場所在 江別市

確実に目の届く「身の丈経営」と粘りの営業力で営農キャリアは約半世紀

広大なたまねぎ畑や牧草地の緑に囲まれたこちらの牧場。札幌市のお隣の江別市にありますが、札幌市内中心部から延びる幹線道路沿いに面し、サツラク工場まで車で10分程度という交通至便なエリアに立地しています。

度重なる水害を乗り越えた不屈の酪農家

ご夫婦で営農されている村上豊さんは、農家の2代目で現在64歳。農業高校卒業後の19歳の時に、炭鉱の事務職から農家に転身した父親の跡を継ぐ形でキャリアをスタートさせました。

当時は豆やイモ、砂糖の原料となるビートなど畑作を中心とした経営でしたが、農耕やたい肥のためにと飼い始めた牛が次第に増えたため、厩(うまや)を牛舎に転換し本格的に酪農に参入。そのころに親戚からの紹介で取引を開始して以来、サツラク農協との取引は約半世紀も続いています。

これまでに、近くを流れる石狩川の氾濫でたびたび大きな水害に遭った経験があるという村上さんですが、「畑の復旧には何年もかかりましたが、すでに酪農が中心であったため、何とか早く復旧することができ助かりました」と当時の大きな苦労を振り返ります。

確実に目の届く規模を堅持

畑作農家の2~3頭からスタートした牛との関わりですが、村上さんには当時から変わらず大切にしてきたことがあります。それは、自らの目が確実に届く規模を守ること。

毎日朝夕、牛を屋外に放していますが、「牛舎に戻す際、元気な牛は真っ先に帰ります。エサを早く食べたいからね」(村上さん)と、その様子を見ているだけでも牛の調子の変化に気づくことが多いといいます。


さらに、「しっかりとエサを食べているかをまず確認します。残していると不安。また、乳質に変化が出ると、体調にもてきめんに変化が出ます」と、日々の乳質チェックにも余念がありません。夫婦間での情報のやりとりも緊密で、一頭一頭への注意と配慮が行き届く規模ゆえに、高品質乳を安定して産出できているのだといいます。

消費者の声と直結したアスパラ栽培

村上豊牧場には酪農に加えてもうひとつ、大きな事業の柱があります。5月から6月にかけて収穫時期を迎える露地物のアスパラ栽培です。
化学肥料をなるべく使わず、牛のたい肥で育てるアスパラの出来ばえは格別。その日の朝に収穫、当日に出荷するスタイルで、サツラク工場の隣の直売所ではすぐに売り切れるほどの高い評価を得ています。直売は消費者の声を直接聞ける貴重な機会で、さまざまな改善点の発見や大きな励みにつながるといいます。

今では出荷先にも恵まれ、直接購入される固定のお客様も増えているといいますが、栽培開始当初は「ただ栽培して出荷するだけではなく、より価値を高く評価していただける販売先を開拓するのに苦労しました」(村上さん)といいます。
規模拡大を目指すのではなく、いまある価値により高い評価を得られる工夫と経営努力で継続してきた「無理をしない身の丈経営」ですが、後継者探しは大きな課題。「身内での事業承継にこだわらず、周辺の同じ組合員と協力しながら今後も安定した質の高い牛乳生産を続けていきたい」(村上さん)と将来展望を模索しています。

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