前田牧場

基本情報

代表者 前田 みゆき
牛舎 つなぎ牛舎
頭数 搾乳牛62頭、育成牛45頭
牧場所在 江別市

日々積み重ねる工夫と緊張感こそが、高品質乳の安定生産の秘訣

札幌市内中心部から車で約30分、最近では宅地開発が近隣まで進んでいる江別市の厚別川のほとりに位置する前田牧場。農家5代目にあたる前田みゆきさんが35年ほど前にご両親から受け継ぎ、現在は家族3人で50ヘクタールにも及ぶ農場を運営されています。

積極性と工夫の積み重ねで規模を拡大

水田を中心とした農業からご両親の代には酪農専業にシフトし、現在では110頭を超す飼育規模にまで拡大してきた前田牧場。みゆきさんは、21歳で結婚してからご両親を含め4名の家族で積極的に牧場運営に取り組んできました。年々増える飼育頭数に対して牧草量が足りず、周辺地を借りて何とかしのいでき

たことも。牧場経営の安定化のためには、一定規模までの拡大が不可欠と考えていたためです。

時には自ら機材の不調を調整、牧場内の整理整頓や牛舎内のワラの敷き方にも気を配り、「自分が牛舎でできることは何でもやってきた」といいます。そうした努力の積み重ねのかいがあって飼育頭数は順調に拡大、経営も安定路線に乗りました。

「運が良かった」とみゆきさんは笑いますが、いかにしてより良質な牛乳を生産できるか、家族で日々、相談しながら工夫を重ねてきたといいます。

さらなる飛躍を目指し、「NON-GM牛乳」生産に参入

より質の良い生乳生産とそれを可能とする牧場経営の安定化に敏感なみゆきさんに、大きな契機となる情報が飛び込んで来ました。非遺伝子組換え (NON-GM) の飼料のみで牛を育てる事業をサツラクが開始するというものです。

消費者団体からの求めに応じて製造に取り組む新規事業でしたが、一般の牛乳に比べて高価で出荷できることが決め手となって参画を決意。従来の運営手法を大きく変えることになるのですが、「難しいことは考えず、とにかく前向きな姿勢で取り組むことしか考えていなかった」と当時を振り返ります。

当然、特別な飼料のみで育てる必要があるため、購入飼料費は上昇。さらに、バランスの取れた飼料の設計をやり直し、新たな技術の習得にも努力を要しました。ただ、それまでにさまざまな工夫を取り入れていたために複雑化していた取り組みがかえってシンプルに転換できたことで、日々の作業が非常に効率的となったメリットも生まれました。その効果もあってか、生産乳量がさらに増加したといいます。

消費者との関わりで生まれる大きな緊張感

受け継がれる緊張感と責任感 前田牧場には、この「NON-GM牛乳」生産のきっかけとなった消費者団体メンバーが牛舎見学に訪れることがあります。 親子で参加するメンバーが多く、普段ゆるやかな雰囲気の牧場もこの日ばかりは賑やかさに包まれます。その一方で食品に対して意識の高いメンバーばかりのため、牧場内の環境に厳しい消費者の目が光ることになるのです。 ただ、そうした消費者から直接返ってくる高い評価や激励の言葉に、「これからもがんばって良い牛乳を搾ろうという気持ちが強くなる」といいます。消費者との関わりから生まれる緊張感が、生産者魂に大きな刺激と励みを与えているようです。

誇れる〝牛屋〟の継承

6年前、前田牧場に新たなメンバーが加わりました。長男の直人さんがサラリーマンから転身してきたのです。

直人さんは日々の営農はもちろん、同世代の仲間と積極的に関わりをもち、共同出資で共進会(体型・乳器などの優劣を品評する会)を目標とした飼育にも取り組んでいます。若手の感覚でこれからの酪農を考え、新たな取り組みを実行に移す行動派ですが「〝牛屋〟としてはまだまだこれから」とみゆきさんは笑います。その反面、事業と〝牛屋魂〟の継承に大きな期待も寄せています。

受け継がれる緊張感と責任感

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